2020年9月9日水曜日

「和美との生活」の矜持-手仕事専科.Vol.001

矜持の言葉を辞書で引くと「矜持(きょうじ)とは、プライド、自尊心、自負心などを意味する言葉。」そして、「自分をコントロールする」「自分を抑える」「自分を抑制してつつしむ」という意味も含まれています。
「矜持」の「矜」は「矛の柄」が語源です。古代中国の武士にとって「矛の柄」持つことは誇りでした。「持」には「維持する」「たもつ」という意味があります。2つをあわせると「誇りを持つ」「プライドをたもつ」という意味になります。

手仕事専科のコンセプトは、「和美との生活」ですが、その矜持に付いて語りたいと思います。
つい最近雄勝硯の地雄勝町に伺いました。
三陸リアス式海岸は子どもの頃に学んだ言葉ですが、雄勝町はまさにその地にあります。現在は石巻市ですが、大浦湾という大きく豊かな入り江があり山を背にし海に面する小さな町です。雄勝硯生産販売協同組合の千葉隆志事務局長の話によると雄勝町は12,000人程の人々が住みホタテと海鼠の養殖漁業の町、そして室町時代の文献に出てくる雄勝玄昌石の石工の町だと言います。それが、2011年3月11日の東日本大震災で壊滅しました。
その後に雄勝町の人々は仙台市内や近辺の町に一時的に移住し現在は4,000人程になると。間も無く大震災から9年半が過ぎようとしていますが、国の復興支援から戻ってくるのは故郷を終の棲家に考えるお年寄りだけだと。実質は1,700人程しか住んでいないと言います。
巨大な防潮堤が今も作られ続けていますが、別の考え方もあったのではないかとお話しされました。彼も今は仙台市近くに住み1時間ちょっとの時間を掛けて通勤しており、あと数年で定年を迎えます。雄勝硯の職人の一番若い方が樋口昭一氏ですが、近隣に住み週に3日程来て硯をつくっていると言います。残念ながら後継者はいないと言います。

手仕事専科の「和美との生活」の意図するものは、伝統的な美の継承です。
雄勝玄昌石・硯の歴史は室町時代の文献に見られるもので、伊達家のお止め山(立入禁止)として庇護されてきました。直に手に取るその黒色硬質粘板岩の雄勝玄昌石は、美しく思います。そして、出来上がる硯もTABLEWAREの食器(プレート)やCRAFTS(雑器)もです。
黒色硬質粘板岩の艶やかな色味ときめ細かな肌触りは艶めかしい女性の黒髪を思わせます。硯に最適な粒子の粘板岩であることが、優れた機能性ですが、書家の方に言わせると墨の擦れ具合が違うと言います。
角型五三寸 SZ-K053 
(150×90×24mm)
¥12,000 注文(メール)
和美との生活」の矜持とは、機能性や見た目の美しさではなく、伝統工芸品に惚れ込むことでした。誰が何と言おうと「私はこれが好きだ」ということです。理屈ではなく理屈を超えた先の物でした。
手仕事専科のスタートではそれは目の前にあった手仕事でした。伝統的な手仕事の機能性や美しさ、歴史を学んできました。希少性やもう絶滅危惧種の手仕事だと理解し継承の言葉から関わりました。その「鍵」は手仕事の機能性と歴史を知ってもらうことでした。
理屈から入るのは当然だと思いますが、今は、「理屈」ではなく「愛着からの拘り」になりました。
手仕事品にはプラスとマイナスとがあります。
マイナスは現代生活とのミスマッチです。
石油から作る人工的な生活具に価格や機能性で負けてしまいます。その結果が、絶滅危惧種となってしまった今になります。
しかし、「矜持」は「愛着を持ち使い続けること」だと気が付きました。
日光下駄山本政史
右近型
南部箒 高倉工芸
和洋服ハケ ¥15,000
弘前こぎん研究所
小袋(中)A ¥13,000
雄勝硯生産販売協同組合
平皿(2点盛)TW-FYNP2
¥9,600 注文(メール)
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